かぶろなる樹、定んでかぶろなるに非ず
『秘蔵宝鑰』
枯れ木に見えた木も、ずっとそのままの状態ではいない
この言葉は、冬の間眠っていた木も、春が来れば一斉に花をつけるように、愚か者もいつまでも愚かなままではないという意味です。空海は自然の理に例えていますが、「隠れた才能や素質は、いつか必ず発揮することができる」という意味が込められています。空海自身も、修行に励んでいた二十代はほとんど無名の僧侶でしたが、唐への留学を経て宗教界のヒーローのような存在になりました。諦めずに地道な努力を続けていけば、必ず花開くときが来るのです。