埼玉県越谷市の真言宗摩尼山地蔵院|大悲霊廟(納骨堂)

豆知識

念珠の(数珠)お話

念珠は袈裟と同様に、仏教徒にとって最も象徴する法具です。しかし、袈裟はお釈迦様が身にまとう衣として定めたものですが、念珠はそうではありません。お釈迦様の時代はもとよりその後の仏教教団においてもあまり使われていませんでした。念珠が使われるようになったのは、7世紀頃密教が成立し盛んになり、密教が法具として使用していたことから、他の仏教教団でも使われるようになったのです。念珠には様々な種類や仏教教団によって違いがあります。基本的に母珠(大きい珠)と子珠(小さい珠)で構成されており、子珠の数によって種類分けされます。私たち真言宗は百八個の子珠からなる念珠を使用しています。真言宗の念珠には、母珠・子珠のほかにも四天・記子・露・浄明と呼ばれている珠があります。それぞれの珠に意味が込められており、母珠は阿弥陀如来を表し、子珠は百八煩悩または金剛界の仏たちを表しています。他の珠も同様に、仏の教えや菩薩を表しているのです。

もとは真言などの数を正しく数えるための法具でした。今でこそ僧侶が念珠を摺るところをよく目にしますが、本来は摺ることがありませんでした。ではなぜ念珠を摺るようになったのでしょうか。諸説あるようですが平安時代に覚猷(かくゆう)という僧侶が、真言の唱え終わりを他の僧侶に知らせるために摺ったのが始まりと言われているそうです。そこから念珠を摺るという行為が広まっていき、現代では仏に祈念を込める際の作法として定着しています。私たち僧侶がお数珠を念珠と呼ぶのは、このような作法だからです。こうして仏教界に念珠が広まって行き、僧侶だけではなく、檀家さんや信者さんにも浸透していったのです。

↑